卒論提出

2004年1月29日 研究
俺「最近、日記かいてませんねー。」
俺「確かに、確かにねー。」
俺「卒論も終わったし書きましょうよー。」
俺「確かに、確かにねー」

はい、gamellaです。こんにちわ。

というわけで無事卒論書き終わりました。
かなり納得の出来です。

まぁ、興味のある人も少ないでしょうが、ここで詳しくどんな内容か説明すると、要点は、
「遺伝子発現状態のばらつき」についてです。

Elowitzら[1,2]によって、遺伝子発現が増加すると遺伝子発現のばらつきが減少することが示されました。これはどういうことかというと、一般に遺伝子は発現を抑制された状態にあるほうが、その発現量のノイズは大きいということを意味します。で、それをシミュレーションを使って解析したわけです。で、原因は遺伝子が制御に採用しているリプレッサーというシステムがノイズを生み出しているということがシミュレーションによっても示されました。

[1]Elowitz MB, Levine AJ, Siggia ED, Swain PS.(2002);Stochastic gene expression in a single cell.Science. 2002 Aug 16; 297(5584): 1183-6.

[2]Swain PS, Elowitz MB, Siggia ED.(2002);Intrinsic and extrinsic contributions to stochasticity in gene expression.
Proc Natl Acad Sci U S A. 2002 Oct 1; 99(20): 12795-800. Epub 2002 Sep 17.

まぁ、要点だけはなせばこんな感じの内容です。

ここからは、卒論に書いていない感想なのですが、いろいろ思うことはあるわけです。

まず、原核生物は遺伝子制御システムをわざと不完全につまり、工学的に嫌われるノイズフルに作っています。ノイズによって状態の多様性が生み出され、ある程度の状況の変化にも対応できるようになっている、というのが、ここ最近のとりあえずの結論のようですが、DNAという細胞内で最も重要なシステムをノイズフルにするリスクも考えないといけません。

単細胞生物ですから、一つのノイズからシステムが崩壊する可能性もあるわけです。となると、それを避けるためには、上位のレイヤーがノイズの監視機構を持つか、個々が互いを監視する複雑系的な制御が必要になるはずです。しかし、そのようなシステムはとりあえず発見されていません。

となると、そのような最終的な制御のシステムは生存または進化というレイヤーになることになります。つまり、結局そっちの方が有利だから生き残ったという考え方です。

原核生物ならそれで通用しますが、真核生物とくに多細胞生物になるとその考えは通用しなくなります。個々の細胞がノイズフルな事は多細胞生物にとっては致命的です。で、実際にノイズを押さえ込む上位レイヤーにあたるシステムを真核生物は兼ね備えています。つまり、かなり工学的に完全な遺伝子発現制御システムを構築しています。

俺にとってもはこの部分が興味深いです。単細胞生物から真核生物になる過程のなかでもかなり重要なポイントだと思います。

他にもいろいろ思うことはあるのですが、とりあえず今日はここまでです。

追記:

こんなこと書いているうちに、修士のテーマで真核生物の遺伝子発現のノイズの機構についてもモデリングしてやろかなんて、考えちゃいましたが、冷静に考えると、すこい大変なんだろうなあ。

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