研究にたいする独り言
2004年2月21日 研究前回、科学者についてのかなり青臭いことを書きましたが、実際、どんな研究をすべきなんだという話になったとき、俺たちの研究会がしている今の研究は生物というモノに対して今までみることのできなかった視点から多くの知見を提供するだろうということを言うことは出来ます。
その根拠は簡単にいうと戦略の違いです。
自分でいうのもなんですが、俺は論文をかなり読みます。自分の興味をもった分野なら、今の研究に関係あるか、ないかに関わらず、かなり読んでいると思います。
それで思うことは、ほとんどの生物学者は漠然と頭の中できちんと組み立てられたモデル(理解という言葉を使ってもいいです)で生物というものの仕組み、本質が理解できるという幻想を持っているということです。
Natureの情報生物学の総説でゴールドベターは言いました。
「現時点でモデル構築作業は職人芸に近い。」
これはまさしく本質をついています。
ある機能を解明する研究と、その機能を組み合わせてシステムを構築し、システムを解明する研究があるとします。
これらの労力が、一つにつき、等価であると仮定した場合、機能を組み合わせシステムを構築する労力は機能の数が増えるに従って、組み合わせが増大することから指数的に上昇します。生物は機能の固まりですので、機能を組み合わせシステムを構築する労力はかなり高いと推測されます。
このシステムは人間だけで、理解するのは不可能なので、現在ほとんどの生物学者は何らかの形でコンピュータを利用していると思います。森博嗣の言葉を借りれば、逆説的な表現ですが「現在、コンピュータを利用せず研究を行うことはもはや一つのスタイルとして認めるべき」水準にまで達していると思います。
しかし、基本的にコンピュータが提供するのは、機能をきちんとした情報として保持してくれることだけです。そこからシステムを構築するのは、現時点ではゴールドベターの言うとおり職人芸です。
これをクリアするためにはよくできたシステム(ソフトウエア)がその作業をサポートする必要があります。とりあえず、今の研究手法を根本的に変えない限りは、それ以外に方法はないと思います。
そんなわけで、俺らの研究会は、生物学的な研究と平行して、ソフトウエアとアルゴリズムの研究もしているわけです。そして、そのなかでもソフトウエアに力を注いでいるわけです。
まぁ、完全なシミュレーションが成功しても結局そこから新しい知見を引き出すのは人間の役目なので、コンピュータが出来るのはそこまでなのですが、とりあえず、そこから先のことは今の目標が達成してから考えればいいというのが、今のところの俺のスタンスです。
これが、では全体の科学というもののなかでどんな位置づけになるのかという事はまた今度機会があったら書こうと思います。どうせこの話題は青臭いものになっちゃうので。
その根拠は簡単にいうと戦略の違いです。
自分でいうのもなんですが、俺は論文をかなり読みます。自分の興味をもった分野なら、今の研究に関係あるか、ないかに関わらず、かなり読んでいると思います。
それで思うことは、ほとんどの生物学者は漠然と頭の中できちんと組み立てられたモデル(理解という言葉を使ってもいいです)で生物というものの仕組み、本質が理解できるという幻想を持っているということです。
Natureの情報生物学の総説でゴールドベターは言いました。
「現時点でモデル構築作業は職人芸に近い。」
これはまさしく本質をついています。
ある機能を解明する研究と、その機能を組み合わせてシステムを構築し、システムを解明する研究があるとします。
これらの労力が、一つにつき、等価であると仮定した場合、機能を組み合わせシステムを構築する労力は機能の数が増えるに従って、組み合わせが増大することから指数的に上昇します。生物は機能の固まりですので、機能を組み合わせシステムを構築する労力はかなり高いと推測されます。
このシステムは人間だけで、理解するのは不可能なので、現在ほとんどの生物学者は何らかの形でコンピュータを利用していると思います。森博嗣の言葉を借りれば、逆説的な表現ですが「現在、コンピュータを利用せず研究を行うことはもはや一つのスタイルとして認めるべき」水準にまで達していると思います。
しかし、基本的にコンピュータが提供するのは、機能をきちんとした情報として保持してくれることだけです。そこからシステムを構築するのは、現時点ではゴールドベターの言うとおり職人芸です。
これをクリアするためにはよくできたシステム(ソフトウエア)がその作業をサポートする必要があります。とりあえず、今の研究手法を根本的に変えない限りは、それ以外に方法はないと思います。
そんなわけで、俺らの研究会は、生物学的な研究と平行して、ソフトウエアとアルゴリズムの研究もしているわけです。そして、そのなかでもソフトウエアに力を注いでいるわけです。
まぁ、完全なシミュレーションが成功しても結局そこから新しい知見を引き出すのは人間の役目なので、コンピュータが出来るのはそこまでなのですが、とりあえず、そこから先のことは今の目標が達成してから考えればいいというのが、今のところの俺のスタンスです。
これが、では全体の科学というもののなかでどんな位置づけになるのかという事はまた今度機会があったら書こうと思います。どうせこの話題は青臭いものになっちゃうので。
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